No.2 長年の夢を実現、自宅で温泉三昧!

 

第2回目のレポートは2014年2月に千葉県君津市から移住した佐藤さんご夫妻を紹介します。写真1 トップ

政志さんは旧余目町(現庄内町)生まれ。高校卒業後、上京し就職。横浜市で公務員をしていました。政志さんの定年退職を契機に温泉三昧の暮らしをしようと移住先を探し歩きました。

鶴岡市温海温泉を選んだ理由は?

自宅に源泉を引いて365日温泉に浸かってリラックスしたいというのが二人の夢でした。休日にはキャンピングカーで全国の温泉地を巡っていたという佐藤さんご夫妻。その時に訪れた鶴岡市の湯田川温泉の湯が特によかったといいます。政志さんが庄内の出身で、鶴岡市は馴染みのある土地だったことも理由のひとつですが、あつみ温泉を選んだのは、自宅に源泉を引くことができたからです。

 

図2     写真提供:『田舎暮らしの本』宝島社 撮影/鈴木和寿彦

地元の情報を得るために活用したものは?

鶴岡市では平成26年度から移住相談のためのワンストップ窓口を企画部地域振興課に設置し、NPO法人「つるおかランド・バンク」では空き家バンクを運営しています。佐藤さんご夫妻も市を介して空き家を購入、リフォームしました。自宅に源泉を引く源泉権利金は110万円。月々の使用料は4320円。家をリフォームする際には浴室にこだわり、湯船は岩風呂風にしました。

写真3 クラフト作品とご夫妻

雪に対する抵抗感はなかったですか?

傅実子さんは東京の出身で、雪国はスキーで訪れるのは良いが、実際に住み着くのはどうかと思っていました。今年の2月で移住してちょうど一年が経ちましたが、実際どんな暮らしになるのかなぁと思いながら暮らしてきました。寒さにすごく弱い傅実子さん、実は移住してすぐに帰りたいと思ったそうです。「関東では、冬でも外で布団が干せて、お日様の匂いで眠れたのに、温海の冬は、雪と吹雪が多いため心が暗くなる人も多いとまわりに心配されたのですよ。」
しかし傅実子さんは、冬、外に出かけられないのならば、家で手仕事をしようと思いました。この冬の間に早速作ったという沢山の作品を見せてくれました。「家に一人籠らないで、皆と話をした方がいいよ」と周りからアドバイスされ、現在、傅実子さんは婦人会、湯けむり女子会など3つの女子会に入り活動的に過ごしています。

 

写真4 ご自宅の前で(426 640)

 

実際に移住してみてかの暮らしは?方言には馴染めましたか?

来たときは、とにかく庄内弁がわからず困ったという傅実子さん。「何度も聞き返したら申し訳ないから」と、わからないときは、「わかんな~い!」と言って笑ってごまかしているとか。「自分はどんなことでも、楽しんでしまうタイプなの。もし疲れたらボケーっとし、ストレスもちょっとしたことで抜けるのよ。いろいろなことをやってみて飽きたらやめちゃえばいいのよ。自分で抱えこまないで何かに逃げる癖があるから大丈夫。」とあまり深刻に考えず前向きです。

一方政志さんは、昔のイメージであつみ温泉は賑やかだと思っていたのですが、人が少なくびっくりしたそうです。商店街の店も早く閉まるため、ちょっと欲しい物がある時に不便を感じています。
「町が小さいので誰と会っても『こんにちは』と挨拶はしますが、相手の顔が近すぎて怖いですね。一年が経ち、慣れてはきたのですが、腹を割って全部話すことは怖くてまだできず、まだ人間関係の垣根がとれないでいます。町内会で一年に一度会合があり、その懇親会には行ったことがありません。職場の仲間とはよく飲みに出かけ、それが地元の情報を得るため、とても大切な場になっています。」と政志さんはいいます。一方、傅実子さんは、町内会の女性同士では飲みにでかける機会も多いそうです。

写真5 温泉街とご夫妻2

これからどのように暮らしていきたいですか?

「引退するにはまだ早いかなとこちらに来て温泉旅館で働いてしまいましたが、もっと趣味の時間を大事にしていきたいと思っています。釣りや畑仕事をできないなら、何のために移住したかわからないですからね。これからはもっとやりたいことをやっていきたいです」と政志さん。
傅実子さんは、身体が動く間は楽天的に何とかなるという考えだとか。「あまり先のことは考えないで、今が楽しければいいんじゃないかしら。できなければやめればいいのだし、明日やれなくなれば明日やめればいい。」と笑いながら話す傅実子さん。

 

移住を考えている人へのアドバイス。

「目的が大事だと思います。自分達は温泉でした。家庭菜園とか動物を飼うとか、田舎暮らしの本や番組などいろいろ見ると、人それぞれにいろいろな目的があります。経験して言えるのは、将来を長く考えるなら生活の利便もきちんと考えないといけません。暮らすには、病院、学校、役所、警察、消防など公共施設が多い方が良いということです。山里とか離れたところに住んで自然を満喫したいのもわかりますが、怪我や病気をしたとか、何かあったときに公共機関から離れたところにいては、実際に暮らすには難しいと思います。今、住んでいるところには、ある程度の公共機関が整っていてよかったと思います。
今まで住んでいた場所は、駅も近く、歩いてデパート、電気屋もあり、食料品もすぐ買え、不自由なく暮らしてきました。ここに来て夜やっている店はほとんどありません。今、まだ歩けるからいいのですが、車も運転できなくなったらどうしようかという不安があります。」

写真6 温海温泉

老後ここで暮らすことについて正直な思いは?

「実はまだ決断がでていないんですよ。今は楽しくやっていますが、どちらかが欠けて孤独な一人暮らしが始まったらどうしようかという不安はありますね。自分は庄内に親戚がいるからいいが、近くに息子たちがいるわけではないので、私が先に欠けたときに妻は果たしてどうするのかという不安はあります。『じゃどうしたらいいか?』と言われても答えがでない。この先、具合が悪くなって、ここを引き払って子供達の近くにいくか、ここを売って施設にはいって年金で暮らしていこうか?」政志さんは正直な思いを話してくれました。
一方傅実子さんは、普段、自分と年代の違う友人と、メールでさりげないやりとりをしています。「何かあってもすぐ相談はできる友達が近くにいるから安心です。先のことはあまり考えないですね。10年後はどうなっているかわからない。そのときそのとき考えながら過ごしていけばいいのではないかしら。」

これからの温海での暮らしに思うこと。

「あつみ温泉にはもっとよくなって欲しいと思っています。せっかくいいお湯をもっているのだから、外国人も呼び込み盛り上がるのもいいですね。役所、自治会、温泉組合で連携して何か盛り上る画期的なことがあればいいと願っています。」いろいろな不安を抱えながらも、あつみ温泉での佐藤ご夫妻の生き方は第二の人生をとても楽しんでいるようでした。

(平成27年4月15日取材 文・写真 俵谷敦子)

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