No.28 農業はやり方次第、働いた分だけ成果が見える!

今回のインタビューは2015年に東京都からUターンし、実家のある羽黒にて新規に農業を始めた齋藤駿介さん(28歳)にお話を伺いました。齋藤さんは鶴岡市羽黒町のご出身。お父様は専業農家ですが、子供の頃からずっと野球ばかりして農家の手伝いをしたことはほとんどなかったため、農業に対する辛いイメージは全くなかったといいます。

Uターンを考えたのはいつからでしょうか。

 齋藤さん:実は、大学を卒業したら農業をするために帰ってこようと思っていたのですが、就職の進路面談のときに、「農業をする上で一度は会社に勤めた方がいい」と野球部の監督にアドバイスを受けたのです。

野球で独立リーグに進むか、地元の会社に勤めるか、関東で会社に勤めるか、色々選択肢があったのですが、最終的に都内の金融機関に就職し野球を続けました。

仕事をしながら社会人野球でピッチャーをしていたのですが、1年半くらい経ったときに投げ過ぎて、肘の骨がはがれる怪我をして野球ができなくなってしまいました。そのときに「もう2年くらいのうちに帰ろうかな」と思いました。

結局4年近く勤め、金融関係の資格も取得しました。多くの会社や個人事業主の経営理念、経験談を聴けた事は財産にもなりましたし、大変勉強になり今後に活かしていこうと思いました。

その後、2015年の11月に相談もしないで突然帰ってきてので、親はびっくりしたと思います。

(写真提供:齋藤駿介さん)

齋藤さん:11月に帰ってきたため、最初の仕事は除雪がメインとなりました。その他にも、依頼を受け、数千本の柿の木の剪定や屋根の雪下ろしなども行いました。除雪に必要な大型特殊車両免許は、最初の冬を終えてから取りました。雪国の冬の農家にとって除雪は大きな収入源となります。

(写真提供:齋藤俊介さん)

齋藤さん:春になり、農業を始めるにあたり、新規就農者に対する支援制度の一つである「農業次世代人材投資資金」に申請しました。いきなりいろいろな作物を始めるのではなく、知識や農機具の使い方など一年間、様子を見るために、最初の年は稲作だけやってみました。そして2年目は、ちょうど同じ地域にいるこんにゃく芋組合の理事長さんから、「こんにゃく芋の栽培をしてみないか」と言われて、こんにゃく芋の栽培も始めました。この理事長さんは、私にとっては師匠で、栽培の相談もしているんです。この一年は、こんにゃく芋と赤かぶの栽培してみたところです。

(写真提供:齋藤駿介さん)

―実は高い農業機械代

 齋藤さん:農業は、実際やってみて楽しいと感じていますが、厳しい部分も感じています。私の住んでいる所は中山間地域で田の面積が小さく効率が良くないので、補助金などの支援や冬の除雪など他の仕事との掛け持ちをしないと厳しいです。農機具代が高く、トラクターは500万~1000万円、コンバインも500万円程します。田植え機は年間で2週間しか使わないのに、それでも平気で500万円します。みんな使う時期が同じなので、シェアするわけにはいかず、結局一家に一台必要になってしまうんです。実際、機械を持っていなかったら農業は厳しいと思いますので、最初から借金して機械を買って収益があるかどうか考える必要があると思います。

 

 

(写真提供:齋藤駿介さん)

新規就農では農地がなかなか手に入らないと聞きますが

 齋藤さん:農地を持っていなくて、農業をやりたいと夢を持って来る人はたくさんいますが、農地は、家が農家でなかったら手に入れるのは結構厳しいと思います。私の場合、父は稲作、祖父は葉たばこを栽培していたので就農しやすかったです。

私はこんにゃく芋と赤カブを今栽培しています。こんにゃく芋はキロ単価230円なので、1反歩(300坪)で小学校のプール2~3個分収穫すると考えてもらうと、それで利益が30万円くらいです。こんにゃく芋は、種芋の冬の保管は難しいのですが、栽培が比較的簡単なのでもっと普及させようと試行錯誤しています。またふきのとうも露地栽培で今年出荷する予定です。

齋藤さん:農業をしたいなら、市役所の担当課に相談したり、実際に農業をやっている人に話を聞かないといけないと思います。インターネットの経験談を見ると、いい話しか書いてないじゃないですか。いいことだけを信じて、実際にやってみたら違うということがあると思うんです。農地、農業機械の事など、サポートしてくれる人がいると助かりますよね。農業経験が無い人が一から農業をするのは難しいと思います。自分も何の縁もないところにポーンと移住したら厳しいと思います。

(写真提供:齋藤駿介さん)

農業は後継者が不足していると聞きますが実際はどうですか?

齋藤さん:後継者不足で困っている人は沢山いると思います。農業者の平均年齢が約66歳と高齢なので、今後もっと増えますよね。後継者がいなくて農業をやめてしまう方の農地が、若手農家や、後継者がいるところに集まっていきます。いい農地は残っていき悪い農地は耕作放棄地として増えていくと思います。

(写真提供:齋藤俊介さん)

-サラリーマン時代の生活と比較すると?

 齋藤さん:農業は暮らしと一体化していて、就業時間と休みの切れ目がはっきりとしていませんが、前の仕事の遅い時は、終電ぎりぎりまで仕事をして大変でしたので、それと比べたら何でもないですね。

今は100%歩合です。収穫して商品を出さないと現金は入ってきません。時給や日給ではなく、働いて農産物を出荷して初めてお金になるという感覚です。働いた分だけ成果が見えるという感覚が、自分に合っていると思います。

 

(写真提供:齋藤駿介さん)

農業以外の普段の楽しみは?

 齋藤さん:ゴルフです。地元の消防団員仲間と出かけたりします。飲み会は、鶴岡に帰ってきてからはほとんど行っていません、前は週3、4回飲みに出かけたのですが、今は月1回くらいになりましたね。ストレスのない生活なので、農作業をして帰ってきて、ご飯を食べて寝るだけです(笑)。一度金融機関で働いて、民間の働きがどれだけ大変か身をもってわかったのが大きいです。いきなり農家をやっていたらまた違っていましたね。農業が逆に苦しいと思ったかもしれないですね。

(写真提供:齋藤駿介さん)

齋藤さん:農業は楽しいです。好きな時間に始めて好きな時間に終われるので、自分に合っています。自分の都合次第でゴルフに行きたいとき行けるというのもいいです。でも晴れていて農作業しなきゃいけないときはゴルフに行けないので、そこは我慢ですね(笑)。圃場からの眺めがストレスフリーなんです。広々としているし眺めもいいし。高校の同級生も田植えを手伝ってくれるので、トラクターに乗せたりしています。東京からも手伝いに来てくれるので助かります。

(写真提供:齋藤駿介さん)

 これからしてみたいことは何ですか?

 齋藤さん:同級生で農業をやりたいという声があるので一緒にやりたいなと思っています。同級生は、皆普通の会社員ですが、土日などの暇なときに手伝いに来てもらっています。農業をやってみたい人にはまず体験してもらった方がいいと思います。新規でやりたい人は農家や農業法人に勤めて、農業を体験した方がやりやすいかなと思います。農家はやり方次第だと思います。例えば、ペンを100円で売るか1000円で売るかで900円の差が出てきます。販路次第だと思うのでこれからそれを考えてやっていきたいと思っています。

 

 

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