鶴岡市に移住した人々の日常をリアルな体験談とともに紹介する“鶴岡市移住インタビュー”。今回は、2021年に夫婦でIターン移住し、不動産業や街づくり事業を営む京都府出身の笹岡さんにお話をお伺いしました。

笹岡 洋佑
京都府出身。一橋大学卒業後、東京のIT企業にてWEBマーケティング、システムエンジニアとして6年間勤務。東京在住中に不動産投資を始める中、鶴岡市内の物件を購入し、お試し住宅入居を経て夫婦で移住。現在は法人化して鶴岡市内外に10軒以上の物件を所有し、不動産業、民泊運営、YouTube配信、商店街再生事業を手掛けている。2025年にはDIYワークショップや起業向け講座、仲間づくりを支援するコミュニティ「鶴岡シャッターズギルド」を立ち上げた。
鶴岡は地方都市として「ちょうどいい」規模感
鶴岡に移住したきっかけについて教えてください。
東京に住んでいた時に「空き家投資」、「不動産投資」をはじめました。東京周辺は空き家が少ないので日本全国を対象にして探したら、たまたま鶴岡で購入ができたので、そのうちの1軒に住むことになったのがきっかけです。購入当時は住める状態ではなかったので、最低限住めるようになるまではお試し住宅を利用し、その間にDIYで修繕しました。その様子もYouTubeで発信しています。
東京にいる時点で購入されていたのですか?
そうですね。東京にいる時点で鶴岡の物件を2軒購入しました。業者さんから、空き家があと5軒あるのでもらってくれないかと言われて。無料という訳にはいかないので1万円で買わせていただくことを提案したところスムーズに購入ができました。


他の地域ではなく鶴岡だったんですね。
鶴岡は、僕にとって『ちょうどいいサイズ』の地方都市なんです。地元は、京都の日本海側で雰囲気は似ているものの、人口規模は鶴岡の半分ほどで、イオンやチェーン店もほとんどない環境でした。 全国にはもっと静かな田舎もたくさんありますが、事業を営む場として考えたとき、街の機能がありながら、少し足を伸ばせば海や山にも触れられる鶴岡のバランスは、非常に魅力的だったと感じました。

不動産業からまちづくり再生へ。

現在はどんなお仕事をされていますか?
まちづくり、空き家再生、不動産業、動画配信、あと民泊をしています。不動産は一軒丸ごと賃貸で利用してもらって、民泊はAirbnbなどを利用して宿泊に繋げています。DIYでリフォームしながら増やしていけば、借り手もついて住んでくれる人もいるので、事業としては成り立っています。
商店街の再生にも取り組んでいるとお伺いしました
これも安い物件が出たから、たまたま買ったというのがきっかけです。これまで別々の土地にある空き家をひとつずつ再生したら、その建物自体の価値は上がるのですが、地域が栄えるとか、土地の価値が上がるということはなかったんです。
商店街の場合、賃貸しても商売する人がちゃんと儲かってもらわないとテナントに長く入ってもらえません。ですからまずはここ自体を盛り上げる必要があるということを感じはじめました。
まちづくりによって、いいお店ができて喜んでくれる人もたくさん増えるだろうし、お店の人にも利益が出る、結果的に自分の土地の価値も上がるという点を見ると、みんなにとっていい不動産事業イコールまちづくりだろうなと思っています。



素晴らしい取り組みをされていますね!仕事や活動の中で目指すところはありますか?
今は商店街の再生に集中しています。何をもって再生って言うのかはまだわからないですけど、「あの辺り面白いよね」とか、「商店街にとりあえず行ってみるか」という人が増えることを一旦は目標にしています。

ないものは作る!楽しい鶴岡暮らし
暮らしについてもお伺いさせてください。普段はどんな過ごし方をしていますか?
基本的に日中はDIYをして夜は YouTubeの編集をする、というのがよくある流れです。行きたくなかったら行かないし、今日は頑張りたいなと思ったら、朝早くから夜遅くまで作業をしています。毎日働いて何かしらはしていますが、嫌なことを嫌なタイミングでやらない、そもそも平日休日っていう概念がないですね。今は仕事や活動など、特に人とのつながりを構築しながら楽しく過ごしています。
鶴岡で暮らしていく中で大変だったことはありますか?
う〜ん。そんなに無いですね。欲しいと思うものは作るので、足りないものもないです。例えば、空き家の裏にサウナも自作したり、現在は、コワーキングスペースを作ったりしています。
購入した元眼鏡屋さんの1階を今は賃貸でBarとして利用してもらっていますが、3階をレンタルオフィスにしようと思っています。僕自身法人化はしていますがひとりで働いているので、仲間が欲しいというのがきっかけですね。



鶴岡の好きな食べ物や場所はありますか?
ラーメン!鶴岡はどこに行っても天気の話をするかのようにラーメンの会話になる風土に最初はびっくりしました。美容院行っても、居酒屋で初めて会うマスターもまずは最初にラーメンの話をしてくるので、おもしろいですね。「どのラーメン屋が好き?」みたいな。
好きな場所は、まちづくり再生事業を手掛けている銀座通り商店街。特に路地裏が面白くて気に入っています。昔のままの建物が良くも悪くもそのまま残っているじゃないですか。これをどう再生しようかとか、昔の様子などを考えて思いを馳せるのが楽しいです。東京に、こういう景観は絶対に無いですからね。


移住するなら、まず空き家を探そう。
移住の際に利用して良かった制度などはありますか?
住む場所も地域も決まっていたので、面白い人に繋がりができたらいいなと思って、2020年に東京交通会館で開催された「やまがた暮らし大相談会(現:やまがた移住・交流フェア)」という移住イベントに参加し情報収集しました。移住した後には移住コーディネーターの方から、町内会長さんやキーパーソンとなるような人につないでもらいました。自力でコミュニティを開拓するよりも、行政の方が間に入ってくださったのでスムーズに地域に入り込めました。
移住するならまず最初に何をおすすめしますか?
鶴岡にはたくさん空き家があるので、賃貸以外の選択肢のひとつとして買って住んでみるということをおすすめしたいです。今住んでいる家は中心市街地にあって安く購入できました。広さは200平米で駐車場もあるので快適です。そういう物件はたくさんあるのでまずは家を探し買ってみるところからでもいいのでは(笑)。
家を買うという発想が笹岡さんならではですね!笹岡さんの視点で鶴岡移住にはどんな人が向いていると思いますか。
鶴岡は小商いを始める方に向いていると思います。
家賃など固定費が少なく済むので、スタートアップ期間に、就職やバイトをしなくてもコツコツ積み上げることができるのはいいですよね。
それに鶴岡は挑戦を後押しする支援がたくさんあるんです。実際に、鶴岡シャッターズギルドはイノベーションプログラムという事業で知り合った仲間と発足しました。他にも金融機関も含めていろんな人が協力してくださいます。挑戦したいことがあって、移住を検討している方はシャッターズギルドでもバックアップしますので、移住してきたらまずはここに来てください(笑)!


「DIYはまだまだ勉強中です」そう笑いながら教えてくれた笹岡さん。
それでも着実に「空き家再生」を進め、収益化へとつなげてきました。現在は仲間とともに「まちづくり」という新たな目標も掲げています。
これからの可能性はまさに未知数、お話をお伺いしてワクワクしました。
鶴岡への移住を検討している方、まずは笹岡さんが主催する鶴岡シャッターズギルドの扉を
ノックしてみるのも面白いかもしれません。

Harvest 本間 聡美
山形県庄内町出身。進学、就職で10年以上仙台の暮らしを満喫し、庄内―仙台の2拠点生活などを経て2015年庄内にUターン。現在は鶴岡市を拠点に企業などの広告撮影、取材撮影、文章制作などを手がけている

