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№67 「自分らしさ」が社会を変える。実験的鶴岡暮らし

鶴岡市に移住した人々の日常を、リアルな体験談とともに紹介する“鶴岡市移住インタビュー”。就職を機に鶴岡に移住し5年目を迎え、仕事でも暮らしでも常に新しいチャレンジを続けている織田さんに、鶴岡での自分らしい生き方についてお話を伺いました。

プロフィール

偶然の出会いから、イノベーティブな挑戦の地へ

移住のきっかけを教えてください。

移住のきっかけは、2022年スパイバーへの入社でした。大学院の研究室では大手メーカーに行くのが王道という雰囲気でしたが、自分はもっと「0から1」を生み出すようなもっとイノベーティブな仕事に携わりたかった。そんな時に、偶然見つけたのがスパイバー1でした。

修士論文の発表が終わった直後に面接を受けて、その翌日に内定をいただいたんです。自分の人生を費やしたいと思える会社が、たまたま鶴岡にあった。それが全ての始まりでした。

  1. Spiber(スパイバー)株式会社は、山形県鶴岡市に拠点を置く慶應義塾大学発のバイオベンチャー。微生物発酵プロセスを用いた人工構造タンパク質素材「Brewed Protein™ブリュード・プロテイン™」を開発・量産化し、ファッションや自動車、食などの分野で環境負荷の少ない次世代素材として提供している。
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知らない土地に移住するのに不安はありませんでしたか。

それまで山形には数回しか来たことがなく、暮らしのイメージは全くありませんでしたが、不安よりも「どんな出会いがあるんだろう」という好奇心の方が強かったですね。

今はどんなプロジェクトに取り組んでいますか。

今は繊維の研究開発、主に人工毛髪のプロジェクトに携わっています。微生物の力を借りてタンパク質、そして新たな材料を作り出すプロセスは、まさに生き物と一緒にものづくりをしている感覚で、日々面白さを感じています。

20歳で描いた「120歳までの人生設計」

暮らしの中で大切にしていることはありますか。

実は20歳の頃、パワーポイントで「120歳まで生きる人生設計」という資料を作ったことがあるんです。就活のためとかではなく、純粋に「自分が死ぬ時に後悔したくない」という思いから自分のために作りました。

120歳というゴールから逆算すると、今はまだ人生の4分の1。そう考えると、何にでも挑戦できる気がしてくるんですよね。自分の人生は自分でつくるという主体感を持って生きることが、自分にとっては一番楽しいことなんです。この長期的な視点が、鶴岡での暮らしや活動のベースになっています。

地域に溶け込み、地域の人と暮らす日々

鶴岡での住環境を教えてください。

最初の2年程は京田地域にある農家民宿にシェアハウスさせてもらっていました。今は、同じ地域の一軒家で、地元のおじさんとシェアハウスのような形で一緒に住んでいます。「このエリアに住みたい」と自分で空き家を探して歩き、地域のキーマンに紹介してもらったのが縁でした。最初は「シェアハウスなんて無理だ」と言われましたが、何度も遊びに行って信頼関係を築き、今では一緒にカヌーへ行ったり釣りをしたりする仲です。

積極的に地域の人とのコミュニケーションをとって、切り開いているのがとても印象的です。

僕は、人とのつながりにおいて、「待ち」の姿勢ではなく、自分から動くことを大切にしています。興味がある場所や面白そうな人がいれば、まずは会いに行ってみる。そうやって自ら一歩踏み出すことで、自然と縁が次々と繋がっていく感覚があります。

今住んでいる京田地域の行事には、ほぼフル出場しています。運動会や駅伝、村ごとの草刈りはもちろん、元旦に世帯主が集まる「年頭」の行事にも参加させてもらいました。街中のアパートに住んでいたら出会えなかった、土地の歴史や農家さんの視点に触れられるのが、この暮らしの醍醐味ですね。また、地域の方々とお酒を酌み交わしながら過ごす中で、少しずつ庄内弁も聞き取れるようになってきました。

庄内の好きな風景や場所はどこですか。

日々のなかで、庄内の風景に心動かされる瞬間はたくさんあります。出勤時に自転車に乗りながらふと目をやる鳥海山の雄大さや、季節ごとに移り変わる田んぼの景色。また、海へ夕陽を見に行くこともよくあります。こうした豊かな自然がすぐそばにあることが、自分自身のウェルビーイングを高める大切な要素になっています。

その日その日で違う景色を見せてくれる湯野浜の夕焼け

全ての活動は「より良い社会づくり」につながっている

登山やサイクリングなど、自然を楽しんでいる様子をSNSでも発信されていますね。

仕事以外でも、登山やサイクリングイベントの「ツール・ド・庄内(ジロ・デ・ショウナイ)」、だだちゃ豆農家のお手伝いなど、興味の赴くままに動いています。自分の中では、これらはバラバラな遊びではなく、全て「より良い社会づくり」という一つの軸でつながっています。

自分がこうやって楽しく暮らしている姿を見て、『あ、そんな生き方でもいいんだとか、自分らしく生きてもいいんだ』って誰かが思ってくれたら嬉しいです。一人が変わることで、周りの空気も少しずつ変わっていく。それが結果的に、社会を楽しくすることにつながればいいなと思っています。

農家さんのだだちゃ豆収穫のお手伝い

仕事と暮らしのバランスを上手にとられていますね。

その人に合った「多様な生き方」が認められる社会になるといいですよね。例えば、僕は冬に長めに寝たいタイプなので、自分のバイオリズムに合わせて少し働き方を調整する「スノータイム」のような試みも、自分なりの社会実験の一つです。

これからどんなことをしていきたいですか。

これからも、この土地の自然や文化に深く根ざしながら、地域の方や自然に対しリスペクトを大切にして、ヒト・自然・経済がうまく調和した社会づくりをしていきたいです。まずは自分が自分らしく生きて、その先に誰かの役に立てるような社会の形を描いていければと思っています。


「自分が自分らしく生きることが、社会を楽しくする」。
その軽やかで力強い言葉は、移住という選択を「どこに住むか」以上に
「どう生きるか」という問いとして捉え直させてくれます。

鶴岡という土地を舞台に、これからも続いていく織田さんの壮大な「探検」から、
どんな新しい社会の種が生まれるのか。これからの活動から目が離せません。


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