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№.59 子育ても仕事も今できることを楽しむ しなやかな暮らし方

鶴岡市に移住した人々の日常を、リアルな体験談とともに紹介する“鶴岡市移住インタビュー”。今回は有機化学をバックボーンに持つ高見ご夫妻にお話しを伺いました。東京から鶴岡に移住されたお二人の移住エピソードや鶴岡で生まれたお子さんとの日々の暮らしについて伺いました。

プロフィール

高見拓(たかみ たく)さん
長野県松本市出身。1986年生まれ。
新潟県長岡工業高等専門学校を卒業後、東京農工大学で有機化学を学ぶ。理化学研究所や化粧品メーカーなどで研究開発に携わる。2022年3月、バイオベンチャー企業への入社を機に本市へ。研究開発に従事。長野、新潟、山形と雪国在住歴は3県目。

高見尚子(たかみ なおこ)さん
神奈川県横浜市出身。1986年生まれ。
夫の拓さんと同じ大学で有機化学を学ぶ。食と農に関わる仕事がしたいと、サラダデリなどの惣菜店を広く展開する株式会社ロック・フィールドで食材を扱う仕事に従事。その後、東京・西荻窪のシェアキッチンでご飯やおやつを提供する。現在は、「つちとね  よこざわなおこ」の名前で子育てをしながら料理教室や食材の通信販売など食に関わる活動をしている。

水が美味しい自然豊かな場所で暮らしたい

ー 鶴岡への移住のきっかけを教えてください。

さん
東京に住んでいた時から田舎に移住したいねと二人で話していました。子育ても自然がいっぱいあるところ、水が美味しいところがいいよねと。

それで地方への転職活動をしていた時に、鶴岡市の企業で働く友人に「一緒に働かないか?」と誘いを受け転職を決めました。今は新しいものづくりに向けた研究開発を進めています。

ー 移住したいと聞いて、尚子さんはいかがでしたか。

尚子さん
以前から地方への転職の話をしていたので、いつかは東京を離れる気持ちでいました。むしろ遠くの土地で暮らすのが楽しそうって。

その頃はシェアキッチンでごはんやおやつを作る仕事をしていたのですが、夫の転職話が持ち上がったのをきっかけに、鶴岡に移住することにしました。

ー 移住する前、庄内について何か知っていましたか。

尚子さん
移住が決まる2年ほど前にmanomaさんで料理教室を開く機会があり、その時に初めて鶴岡に来ました。地元の料理人さんとも繋がっていたり、友人と出羽三山に登山で訪れたこともありました。鶴岡は良いところだと知っていたので、移住の話を聞いても全然大丈夫だと思いました。

manomaさんでの料理教室「琥珀糖づくり」
移住前に訪れた出羽三山での風景

さん
私は鶴岡に知人がいなかったのですが、今は同僚や妻の食の仕事関係の繋がりも増えてきています。今の会社が「すごく居心地がいいから一緒に働こうよ」って大学の後輩を呼んだら夫婦で移住して来てくれて、一緒に釣りに行って遊んでいます。

知らない土地への移住は支援サポートを活用

ー 移住を決めてからどのくらいで引越しましたか。

さん
11月の下旬に転職のお誘いがあり、仕事が決まったのが翌年の1月半ばで、4月から出社することになりました。

ー 2ヶ月半ほどで移住されたんですね。物件などはどうやって探しましたか。

さん
最初はインターネットで調べて目星をつけて、実際に内見にいきました。

尚子さん
2月の上旬に鶴岡に来て、家と車を一気に決めて。

さん
移住する時は時間がなくて大手で車を購入したですが‥後から地元の自動車屋さんの方が安いし丁寧だよと教えてもらいました。結果的に、車両も保険も割高なものを選んでしまっていたことに気づきました。そこはもうちょっと考えればよかったかなと思います。

尚子さん
移住前に地元の良心的なお店の情報を知れたらよかったねと話していました。

ー 他に情報収集はされましたか。

さん
東京の有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」でいろいろ教えてもらいました。

尚子さん
そこで鶴岡市の移住コーディネーターさんにもつないでいただきました。「新しい生活が始まるんだぁ〜」と移住を進めていたら懐妊がわかり‥すごい変化の年ですよね。出産する病院選びやこれからの仕事のことを相談しました。知らない土地の病院を選ぶのはとても難しいので。

さん
すごく助かりました。

鶴岡生まれのお子さんと一緒に

食べ過ぎ注意の美味しい町

ー 鶴岡に来て、第一印象はいかがでしたか。

さん
まず自然がすごく近くて、のびのびできることですね。東京では毎日満員電車に乗っていたので。空気が美味しいってこのことなのかなと感じました。あと、どこの居酒屋やご飯屋さんに行っても料理が美味しいです。

尚子さん
鶴岡に引っ越して、ご飯を食べに行ったらあまりにも美味しくて、動けなくなるほどたくさん食べて。そんなことを繰り返していたら、鶴岡での初めての妊婦健診でだいぶ体重が増えていて先生から「どうしたんですか?」と驚かれました。「ご飯が美味しくて食べすぎました」って(笑)

ー 湧水を汲みに行かれたりもしていたそうですね。

尚子さん
この地域は湧水がとても多くて、しかも同じ山でも汲む場所で味が全然違っていて。だから自分たちの好きな味を探してみよう!と、遊佐や月山の方などに行ったりしました。二人とも月山のタキタロウ館に行く途中にある湧水が気に入っています。

自然が暮らしの近くにある

ー 普段はどんなところに出かけていますか?

さん
加茂水族館は、娘が館内を自由に歩いて楽しんでくれるのでよく行きますね。あとは月山を散策したり、大鳥で山菜を取ったり。冬だと、会社終わりにたらのきだいスキー場でナイターを楽しんで、車で15分ほどで帰って来れるって、ぜいたくだなぁと思いますね。海も山もコンパクトに集まっている環境はなかなかないので、仕事と趣味が一緒にこんなに楽しめるなんて。

雪国の冬、交通事情は要チェック

ー 移住を考えている方にアドバイスはありますか。

尚子さん
移住する前は酒田と鶴岡の距離がどれくらいかわからなくて、酒田に住んでもいいかなと話していました。

さん
後から冬の移動は2倍以上の時間がかかると知って、住まいを職場と同じ鶴岡にしておいてよかったと思いました。事前に1年間を通しての交通事情などの情報が得られるといいなと思います。

ー初めての冬は大変でしたか。

さん
私は意外となんとかなりました。

尚子さん
東京じゃ考えられないほど雪が積もって、どんより暗い冬もカーテンを開けると積もった雪の反射で家の中がぱっと明るくなって「めっちゃいいじゃん」って。

そのころは子どもがまだ小さくてよく寝てくれていたので、その間に酵母を育てたり、パンやお菓子を作ったりして過ごしていました。

子どもと健やかに暮らしつつ仕事をしていく

ーお子さんが生まれてから、どんなふうに過ごしていましたか。

尚子さん
生後3カ月くらいから、総合保健福祉センター「にこふる」や鶴岡市子育て広場「まんまルーム」によく行ってました。本人が楽しそうで、私も気分転換になって。本当に良くしていただきました。夏は近くの公園で水遊びをしたり。9カ月からは保育園に通っています。

お子さんが通う「やまのこ保育園home」
子どもたちの主体性、五感を使って世界と関わることを大切にしている

ー 尚子さんは子育てをしながら、料理教室や鶴岡の食材を発送で届けたりしていますよね。

尚子さん
庄内で繋がっている農家さんの野菜だったり、糀屋さんの麹などを県外の方に発送することを仕事の一つにしています。「めちゃくちゃ美味しい」「また買いたい」「違う食材も買ってみたい」という反応がうれしくて、もっと知ってほしいなと思います。あと、鶴岡ふうどガイドとして、庄内小麦の料理教室を担当させていただきました。

今は子育てしながらできることをできる形でやっています。私の中で「子どもと健やかに暮らしつつ仕事をする」という事を大事にしていて、暮らしとともに仕事も緩やかに変化させて、よりよい暮らしにしていけたらと思います。

食材便に同封されているレポート
作り手と食材を丁寧に拾い上げていて、読むだけで愛着が湧いてくる

ー これからやってみたいことはありますか。

さん
今年は海で泳ぐことができなかったので、来年は海でも遊びたいなぁと。あとは登山ですね。会社の同僚と山菜取りも面白いかなと思います。

尚子さん
今は鶴岡の食材を発送しているのですが、こちらで加工してお菓子も送れたら楽しいかなと思って、菓子製造ができる工房を作ろうと動いているところです。

仕事も子育ても趣味もそれぞれバランスを取りながら、自分がしたいことを今できる形で実現されているお二人。しなやかな暮らしのヒントをたくさんいただきました。

この記事を書いた人

大瀧香奈子
FUNE(デザイン室フネ)グラフィックデザイナー

鶴岡市(旧 櫛引町)の果樹農家に生まれる。デザインワークの傍ら、地域の食文化、美しい風景や受け継がれる伝統を再発見する日々。

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