No.38 自分のやりたい仕事が鶴岡にあった。そこから始まった家探し

2017年に鶴岡市に移住した助産師の順子さんとプロのサックス奏者の健一さんご夫妻にお話しを伺いました。

松本健一さん(54)長崎県出身。順子さん(51)酒田市出身。順子さんは高校卒業後に上京。看護師(助産師)として都内の総合病院に勤務。健一さんはプロのサックス奏者。庄内町出身の順子さんのご両親と鶴岡にJターン。

突然始まった仕事と住まい探し

Q.移住を考えたきっかけは何でしょうか?
A.順子さん:東京で勤めていた病院が産科診療をやめることになり転職を考えなくてはならないタイミングで、神奈川に呼び寄せていた父が同居しないと暮らせない状況になり、二世帯で暮らせるところを探さなくてはいけなくなったんです。当初、関東近郊で助産師の仕事を探しましたが、なかなか見つからず、そのうち山梨、新潟と他の地域でも探してみたのですが、考えたら全然知り合いも親戚もいない、住んだこともないところに住むのだろうかと思ってしまって。ちょうど前年に、酒田市にあった実家を完全に処分してしまったので、「すぐに帰ろう」という気持ちはなかったのです。でも移住するなら酒田や余目のある庄内地方にと思っていたのですが、そこには、私の求める仕事がなかったんです。そのときは鶴岡にある病院という選択肢はなかったんですよ(笑)。ところが「山形県」で検索してみたら、鶴岡市にある病院の求人が見つかり「仕事があるのなら行けるかな」って思ったんですよね。そこが鶴岡に移住することになった一番の理由です。仕事はお産を担当しているので、職種的にはやりたいことが見つかったので鶴岡に行こうと思いました。

 

住む場所は子どもの学校探しから

Q.住まい探しはどうしたのでしょうか?
A.順子さん:自分が仕事をするためにも第一優先は、子どもの通学環境と学童保育でした。最初に検討した地域は、新規転入者が何百年ぶりという地域でしたが、住民会長さんにもお会いし大歓迎していただいたのですが、学校が遠かったのです。スクールバス通学の上、学童保育がありませんでした。学校も見学させていただき、先生方にとても親切に説明していただいたのですが決めることができませんでした。鶴岡に二度目の家探しに来たときに、つるおかランド・バンクから櫛引地域の小学校近くの物件の情報をいただいたので見にいきました。敷地には家庭菜園もあり、建物は夫の仕事にも使えそうな感じでいいなと思いました。学校や学童保育も近く、子供と一緒に見学させてもらいました。1学年1クラスという規模は初めてでしたが、見学してみて子どもも大丈夫そうだったので、この物件に決めることにしました。これで仕事が決まり、住む場所、子供の学校も決まったわけです。

(写真提供:松本さん)

参考にした先輩移住者のリノベーション

健一さん:住まいを決めました訳ですが、すぐに住める物件ではなくリフォームしなくてはいけない物件だったので、次に先輩移住者の佐久間麻都香さんを移住コーディネーターに紹介してもらいました。佐久間さんは、空き家をリフォームして暮らしていたので(インタビューリンク)、実際にその住まいを見せてもらいました。知らない土地に来て、いきなりどこの工務店さんに聞けば良いかも知らないと、それだけで訳がわからななくなり疲弊してしまうので、先輩移住者の声を聞けて良かったです。空き家活用や再生エネルギ―活用補助金を使うことができ、憧れの薪ストーブもいれました。工務店の方と相談しながらやるのがお勧めです。

どんどん広がった楽しい繋がり

Q.実際に暮らしてみての感想を教えてください。
A.健一さん:何度か冬に車で羽黒山にスキーで来ていたので、冬の暮らしの想像はできたのですが、その時の印象と今では全く違いました。人が住んでないようなところだと思っていましたから。暮らしてみないとわからないことがほとんどです。最初の印象は幻想でした。住んでみると良いところも悪いところも、思っていたのと全然違うのです。鶴岡には、面白い人がいっぱいいますね。先輩ミュージシャンで鶴岡出身の磯見博さんが地元の音楽事情に詳しい蕎麦屋さんを紹介してくれて、その蕎麦屋さんがさらにいろんな人を紹介してくれたんです。そこに行くとだんだん芋づる式に次から次へと面白い人がやって来るんです。また、薪ストーブをつけてくれた業者さんの紹介で薪サークルを紹介してもらいました。そのサークルは、10家族くらいで皆さん自宅に薪ストーブがある方たちなのですが、薪についての情報交換などができ助かっています。

地元の人の暮らしの当たり前がはじめはわからない。

Q.暮らしてみて感じたことがあれば教えてください。
A.健一さん:神奈川に住んでいたときと大きな違いを感じたのは、町内会費の金額です。それに消防団、神社の氏子など色々加算されます。でも、公民館で集まりがあるとお酒が飲めるのです(笑)。

順子さん:「ドブさらいをするので、スコップを持ってきてください」って言われた時に、ドブさらいには下が平らになっているスコップを使うということを知らなかったんです。神社に来てくれと言われ、行ってみたら皆正装していて、お祭りの最初にあるお祓いだったみたいで、入るタイミングがわからなかったり、お葬式のしきたりもよくわからなくて、地域の人たちは、私たたちが何に困っているのかもわかんない感じでした。

(写真提供:松本さん)

子供に対する温かいまなざし

健一さん:二人の娘たちが順番に里帰り出産で来ていて、孫の面倒をみたりしました。保育園や幼稚園に通って泥んこになって遊んでいました。すごくいいですよ。

順子さん:子供に対する視線がぜんぜん違いますね。ヨソから来た人は皆言います。例えば都内で地下鉄に乗っていると、子供が騒いだりするのはもってのほかですけど、機嫌よく鼻歌うたったりするじゃないですか。それだけで、隣の乗客に舌打ちされたりそういう雰囲気なんですよ。ベビーカーを持って電車に乗ることとかいろいろ論議を醸していましたけど、子育てしているお母さんたちは、小さくなって子育てをしていると思います。鶴岡は子供に対するまなざしが温かく空気感も全然違うので、子育てするんだったらいいと思います。

移住を考えている人へ

順子さん:仕事に関しては、あまり強く勧められないとういうところはあるかな。有効求人倍率が2倍はあるらしいのだけど、なかなかうまくつながらないんです。私の場合は、自分の望む職種にぴったりはまったから、満足度が高かったのですが。夫に関しては、ここで仕事がないようだったら、向こうに戻るしかないねという感じでした。まだ川崎に家があり、上の子が一人で住んでいるので。でも私は、転職が初めてじゃなかったので、転職すると給料が下がるというのはわかっていたし、地方に行くならさらに覚悟をしていたので、「えー」とは思わなかったですね。

健一さん:本当に「仕事」をするんだったら東京に行かないとしょうがないっていうところはあるんですけど。でも、こちらで1年半くらいやってみて、じゃあ「東京で意味のある何かできるのか」がわかんなくなっちゃうんですよ。もちろん東京に行けば素晴らしいミュージシャンと一緒に仕事ができます。こちらでは、ほとんどアマチュアの人たちと一緒に何かやるんですが、そちらの方が楽しくなっちゃって。仕事の演奏にはならないけれど、私の場合は特殊な仕事なのであまり参考にならないと思います。

音楽を通して、地域に人を呼び込みたい

順子さん:夫は高校卒業まで、雪の降らない長崎県諫早市で過ごしているのに、鶴岡の四季の中で一番好きなのが冬っていうんですよ。
健一さん:冬いいですよ!雪がいよいよ消えて春になると、あぁ寂しいって思うんです。長崎では、まず雪降らなくて、僕が子供の時に一度10cmくらい積もったのかな。それが大騒ぎになり学校が休みになったんです。

健一さん:酒田の人に「鶴岡はジャズが盛んなところですね」ってよく言われるのですが、いろいろな場所で、ジャズライブを開催してみたいと思っています。実は、移住してすぐに地域の公民館でやったんです。板張りのところにドラムセットを置いて、観客は畳敷きのところで、おばあちゃんたがイスに座ったり、皆思い思いの格好で聞いていましたね。加茂水族館のクラゲの大水槽前とか丙申堂でとか、育苗ハウスとか今までやったことのない場所でやれるのが楽しいです。音楽を通して、地域に人を呼び込んだり何かやってみたいですね。ちょうどいいい場所にはまった感じがしています。

 

(2018年9月28日 インタビュー実施)